= 呑みこみジェラさん投下用 -------(1) 日差しが西へと傾くのもすっかり早くなり 空はオレンジ色に変わりかけている頃 部活動とは縁遠い俺達4人は いつものようにどうでもいいことをだべる。 そんな日常を壊したのは いつもの校門をくぐった瞬間 後ろからかけられたこの一言だった。 「少し、よろしいでしょうか?」 振り返って驚いた。 メイド服を着た女が校門の前に立っていたのだ。 しかも背後の夕焼けに彼女の膝あたりまである赤い二股の三つ編みが溶けこみ n顔にはやわらかな気品ある微笑みを浮べる美人さん。 後光が差すように見えるのは夕日のせいだけではないだろう。 しかし明らかに違和感のある目立つ風貌であるにも関わらず 俺たちのだれもが校門を通ったときに気付かなかったし 他の学生達も催眠術をかけられたようにスルー。 声をかけられた俺達だけがその違和感を認識している、そんな状況に見えた。 「ど、どういったご要件でしょうか?」 緊張だろうか、ツレの一人が妙な敬語で答えると 笑顔で立っていたメイドは深々と礼をしてからこう言った。 「ご主人様が、あなたがたにお礼をしたいと申しております。 ご同行願えませんでしょうか?」 ご主人? お礼? どの単語にも心当りはない。 人違いではないか、俺がそう答えようとした瞬間 ツレのひとりがニヤつきながら答えたのだ。 「わかりました、喜んでついていきます!」 俺は焦ってそいつに問いかける。 「お、おい、お前… 心当りあるのかよ」 「ん、いや、無いけどな。でもきっと美味しい話だぜ?」 そいつはきひひと笑いながら答えた。 -------(2) メイドに連れられて到着したのは とあるホテルの最上階の一室。 そこがいわゆるスイートルームであることは 馬鹿な俺達にも見ただけでわかる高級感。 敷きつめられた赤い絨毯。 白を基調とした内装が、どこまでも眩しい。 とんでもないところに来てしまった。 そんな恐怖感に煽られる俺だったが ツレたちはと言えば興味深そうに物珍しく周りを見回していた。 そこへ奥から紅茶を入れてきたメイドが 「こちらにお座りください」と豪華なソファーを示した。 紅茶は格別の味だった。 暖かい液体が体を内部からやわらかくほぐすように まるで自室の風呂に入ったようなリラクゼーションを与えたのだ。 たかが、茶一杯を飲んだだけで。 あっという間に全員が紅茶を飲みほすのを メイドはにこにこと見つめていた。 そうして、俺達にこう語りかけた。 「では、わたくしがお礼を差し上げますので おひとりずつ、あちらの寝室へお越しください」 ただそれだけを言い、メイドは立ちあがった。 そして向こうの寝室へと入ると、一礼し、ぱたんドアを閉じた。 メイド 寝室 お礼… 若くて夢が多く、疑うことも知らない俺達には それは最早「メイドが身体でお礼をする」としか思えなかった。 すぐさま白熱のジャンケンが始まり… そしてあっさりと俺は負けてしまった。 「…か、勝った…ッ! 一番のりいただき!」 順番が確定するまでに、さほどの時間はかからなかった。 威勢の良い勝ち名乗りを上げた男はスキップで寝室への扉へ向かい 「じゃ、いってくるぜ〜!」 と陽気にドアを開け、だらけた笑顔で中へと消えていった。 そして残された俺たちは、誰もがにやついていた。 「…おい、やっぱメイドってすげーのかな…」 「…そりゃ、そういう技術だって教えられてるって聞くぜ?」 「ご主人さまに奉仕しなきゃだもんな」 「初物じゃないけど、あのとき以上のいい思いだろうなぁ…」 --------(3) "あのとき"というのは、つい一週間前 俺たち4人でひとりの女をレイプしたときのことだ。 ターゲットは黒髪の長髪で眼鏡をかけた、クラスの委員長だった。 規則を守ることしか脳がない、つまらない女だった。 そんな女が、何故か遊び人の俺に告白してきたのだ。 当然校則で持ち込みが禁止されている携帯など持っておらず… 彼女は今時、下駄箱に入れた手紙で呼びだしたのだ。 俺達はそれを見て笑い、そして遊び半分で指定の場所へ行った。 夕刻、人少なな校舎裏、そこでなんの変哲もない、ごく普通の告白をされた。 つまらなかった。なんの価値もない女に見えた。 だから、犯してやったのだ。笑いながら。何度も何度も。 …女は涙を流したが、しかし抵抗はしなかった。 今思い起こせば、そこだけは立派だと思う。 だが次の日から、そいつは学校に来なくなった。 「やっぱ来なくなっちまったか」 俺たちは顔を合わせて笑ったのだ。 --------(4) 「…なあ、ちょっと聞いてみないか?」 誰ともなく、そんなことを言った。 「いいね」「賛成」断わる理由はない。 俺たちはここと寝室を隔てるドアに耳を当てた。 グチュ、ズプ、ジュル、クチャ、グチュ、ヌブ… 微かに聞こえてきたのは、粘液の擦れあう音だった。 「おい、やっぱそういうことなのか?」 「いや、俺、本当は半信半疑だったけど、マジかよ…」 「しかし、すげえなこの音。腕でも突っこんでんのか?」 ジュム、ジュル、グジュ、ジブ、ジュル、ヌル… 「…は、は、あ、あは、はひぃ」 「おいおい、あいつ、凄い声出してんな」 「…つーか、声になってないじゃねーか」 「これは期待せざるを得ないな」 ブジュ、ジュ、ジュル、ズル、グジュル、ムジュル… 「おいおい、なんか音がさらに大きくなってるぞ」 「激しくもなってるな…」 ごくり。 誰かが生唾を飲む音が聞こえる。 「…開けて、みるか?」 「……ああ」俺は頷いた。 そうして俺たちは音を立てないよう ゆっくりとドアを開け、中を覗き見た…。 ギュチュ、ズル、ジュル、ズル、ジュル、ギュル… ベッドの上の全裸の男にメイド服の女が跨り 粘液が擦れあう淫靡な音を大きく響かせていた。 女の腰が動くたび、じゅるりと大きな音が響き、男は喘ぎを大きく上げる。 目の前で展開されているこの光景は一見、男女の営みだった。 ジュル、ニリュ、ブニュ、ズニュ、ズリュ… だが、それははっきりと異常な部分があった。 あひ、あひと喘ぐ男は涙を流しながら 腕をばたばたと藻掻かせながら スカートから逃がれようとしていた。 --------(5) ニジュ、グジュ、ジュル、ブジュ、ジル… 音が一層大きくなったかと思うと メイドのスカートが大きく波打ち、男の体がスカートの奥へと進む。 まるで魚を食らうイソギンチャクか咀嚼したものを運ぶ食道のような動き。 …それは人ではありえないもの。 グモ、ジュル、ミジュ、グジュ… またスカートが波打ち、藻掻く男の体はその甲斐もなく さらにスカートの奥へと消えてゆく。 消えるたび、涙を流しながら、男の喘ぎは大きくなっている…! ジル、ブジュ、グジュ、ニジュ… 泣き喘ぐ男とは対照的に、メイドは喘ぎひとつ上げてはいなかった。 ただ、無償で与える、慈悲深い笑顔がそこにあった。 右手は涙を拭くように、そっと男の頬を撫でていた。 そして左手は…ぐむぐむと咀嚼するように蠢く腹をやさしく擦っていた。 気がつけば音はさらに大きく、しかしゆるやかに変わりはじめた。 グジュオ、ジュルゥ、ムジュウ、ジニュウ… と、メイドの三つ編みがひとりで重力に逆らい動きはじめる。 先がどろりと溶け、手のような形になる。 そしてしゅるりと男の首に巻きつき、肩をがっしりと掴む。 その瞬間、涎を垂らして泣き叫ぶあいつと、俺の目が合った。 「…た、たす………たすけて…」 が、メイドの三つ編みがあいつの身体を 一気にスカートの中へと押しこみはじめたのだ。 ジュ、ジュルルル、ギュルルルル…… スカートが膨らみ、男の肩が、男の首が、男の口が 男の顔が、男の頭が、男の全身がその中へと消えた。 男の全身。いくらなんでもスカートの中に入るはずのない体積。 しかし彼はベッドから居なくなっていた。 まるで異次元にでも消えてしまったかのように。 「ふふ…」 いや、居るのだ。直感的に理解した。 メイドの未だ蠢くスカート。彼はその先に居る。 メイドが微笑みながら、ゆっくりと撫でている 膨らんだ腹、その中に居るのだ。 --------(6) メイドはすっくとベッドから立ちあがり ドアの、俺たちのほうを見た。 笑っていた。やさしく腹を撫でながら笑っていた。 「…ひ、ひぃ!!」 ツレの一人が逃げだそうと反転し、部屋の出口に走る。 が、二、三歩走ったそのとき、なにかに足をとられ 頭から赤いカーペットに向かい突っこんでゆく… と、床に顔が触れようとしたそのとき カーペットから赤い泡が膨らみ… ずぶにょん それはエアバッグのように、彼の頭をやわらかく受けとめた。 おかげで彼には怪我ひとつない。 が、すぐに彼は自らの足を見て、叫びを上げた。 赤いカーペットからぬるりと伸びた、真っ赤な、人間の手が がっしりと彼の足首を掴んでいたのだ。 きぃ。 俺の背後で、ドアが鳴いた。 そこにはメイドが立っていた。 そっと両手で大きく膨れあがった腹を抱え うっすらと苦しげな男の顔が浮びあがるスカートを ぐむぐむと咀嚼するように蠢かせながら 赤い三つ編みでドアノブを捻り、そこに立っていた。 足を引き、懸命に逃げようと藻掻くツレを見て笑っていた。 「そんなに急いで、どこへ行こうというのです?」 その間も咀嚼するようにメイドのスカートは蠢いている。 苦しげな男の顔の口が大きく広がると、びくりとスカートが揺れる。 「なにを恐れることがあるのです?」 メイドはドアの横に座りこむ俺たち二人を素通りし 顔を青くした彼のもとへと歩いてゆく。 「わたくしの中で、お礼を差しあげるだけですのに。 溶けるように甘美な、快楽の時間を」 --------(7) たん、たん、たん… 足音が軽やかに響く。 ぐじゅ、ぐぼうと、メイドのスカートがまた、大きく波打つ。 「既に貴方のお仲間は私の中で楽しんでおられるのですよ?」 波打つたび、ああ、ううぅ、とスカートの中から小さな呻きが聞こえてくる。 涙を流しながら、ぶんぶんと、ツレが首を振る。 たん。 ツレの前で、足音は止まる。 腰が砕け、スカートの前にぺたんと座りこむ。 メイドはくすりと笑いながら言った。 「…そうですね、あなたには、特別に見せてさしあげましょう」 そう言って、メイドは自らのスカートを、ついと、捲りあげた。 「…ひ、ひぃぃぃ!!」 俺たちからはメイドの背になり、スカートの中は見えない。 が、スカートをあげた途端、ぼた、ぼたぼたぼたと 樽入りの蜂蜜をぶち撒けたような音と そして「それ」を見た彼の大きな悲鳴は はっきりと、耳の奥まで届いた。 ガチガチガチガチ、ガチガチガチ ツレの歯が震えを立て、リズムを刻んでいる。 それから逃れようと必死で後退しようとする。 しかしべったりと足を掴んだ真紅の手は その場から離れることを許さない。 「さあどうぞ、ご遠慮なく飛びこんでくださいな」 ぼたぼたぼたん。 また重い雨音が響く。 「どうしたのです? 照れているのですか?」 ぶんぶんと、彼は首を振る。 「ふふ、今の貴方はまるで初めてのひとのよう。 そういうわけではないでしょうに。ご主人様から聞いておりますよ。 さあ、いらっしゃいませ」 メイドがなにを言おうとも 彼は涙を流しながら首を振るだけだった。 暫くそれを眺めたメイドは ふうと息を吐き、こう言った。 「仕方ありません。初めての方をお相手するように 私がリードして差し上げましょう。」 --------(8) スカートを捲りあげたまま、 メイドは一歩、一歩、彼に向かい進んでゆく。 スカートの壁が、少しずつ彼に近づいてゆく。 歩みを進めるたび、ぼたぼたんと重い雫が落ちる音が響く。 彼は身を捩り、必死で「それ」から離れようと藻掻く。 俺も隣のツレも、足に力が入らず それを眺めることしか出来ない。 「くす、くすくす、くす」 メイドの笑い声が聞こえる。 「くすくす、くす」 「くす、くす」 …おかしい。 「くすくす、くすくす」 「くす、くすくす」 …笑い声が、増えている。 「くすくす、くす」 「おいで…さあ…」 …メイドだけではない。ひとり? 二人? 「あなたも…」 「くすくす…」 …メイドのスカートから…確かに聞こえてくる… 「こっちにいらっしゃい…」 「きもちいいのよ…」 「…永遠に…きもちいいのよ…」 ツレが涙を流し、鼻水をぐしゃぐしゃにして叫ぶ。 「やめ、やめ…て…、手を伸ばしてくるな!! 引き摺りこもうとするな!! 俺は、俺はそっちになんか行きたくない!!」 必死で、必死で離れようとする。 「ふふふ、だいじょうぶ。嫌なのは最初だけ…」 「それに逃げられないわ…私たちが貴方の足を掴んでるもの…」 「それに…ほら、もう、私自身の手も届くよ…」 「くすくす…」 --------(9) たん。 またメイドが一歩進む。 今やツレの姿も見えない。俺からは見えない。 メイドの背に隠れて、なにが起きているのかわからない。 「ほらもう貴方の顔も触れられる」 「さあ、かわいがってあげる」 「私達が、たくさん、たくさん…」 「まず服を脱がせてあげる」 「そしてたくさん触れてあげる」 「ふふふ」「くすくす」「ふふふふふ」 そしてツレは、最後の叫びを上げた。 「う、うわぁぁぁあああああああ!!」 が、その地球の端まで届きそうな大きな叫びも ばさん。 とメイドが自らのスカートを離すと、ぴたりと聞こえなくなった。 彼がこの世界から消えてしまったかのように。 …いや、やはり彼もまだ存在していた。 メイドの波打つスカートの中に。 そこにうっすらと、苦悶の顔が二つ、浮んでいた。 ぐじゅ、むじゅ、じゅる… 異様な音を響かせ、スカートが蠢く。 そして俺は気付く。 少しずつ、膨らんでいたスカートも メイドの腹も小さくなっていることに。 くるりとスカートが回り、メイドがこちらを向く。 そのとき、ようやく俺たちは思い出した。 次は、自分たちだということに。 --------(10) 「う、うわああああぁぁあ!!」 叫びを上げて、隣のツレが立ちあがる。 その手には、銀色に輝くナイフが握られていた。 使う日なんて永遠に来ないだろうと思いながら 護身用と笑って持っていたそれを、彼は取り出したのだ。 しかしその鋭い輝きを前にしても メイドの笑みはまったく崩れない。 「次はあなたですか?」 そう笑い、さらには両手を広げ スカートを蠢かせながらこう言ってのけたのだ。 「さあ、いらっしゃい」 それを合図にしたかのように ツレはナイフを前に、メイドに向かい走りだす!! ずむん。 それは確かに、メイドの腹に深々と突き差さった。そのはずだった。 その証拠に彼の手は赤く染まり メイドの腹からは赤い液体がどろどろと流れ落ちていた。 しかし、メイドは笑っていた。 痛みで崩れおちることも、倒れることも 彼を払いのけることもせず、笑っていた。 どころか、メイドは刺したまま動けないツレを その両手でぎゅうと抱きしめた。 「ふふふ、掴まえた…」 彼はメイドの手の内で暴れていた。 しかしメイドの三つ編みが彼とメイドにぐるぐると巻きつき そしてメイドから流れ落ちた赤い血がどろりと蠢き 彼を包みこみはじめたのだ。 抱きしめたまま、その様を見たメイドはくすりと笑うと 彼の口を捉え、そこに自らの口を重ね合わせた。 「むぐっ…!!」 口を塞がれ、そこに舌が侵入しているのは 彼の反応や、メイドの動きからわかった。 頬が膨らみ、口内を余すところなく舐められているようだった。 いや、舌だけではなかった。 彼らの口元から、どろりと赤い粘液が溢れ出していた。 彼は溺れたかのように、粘液の中で藻掻き始める。 「ごぶっ、ぶぐ、ぐぶぅ!!」 それでもメイドの口は離れない。 さらに彼の喉は動いていた。そして、膨らんでいた。 今、明らかになにかが喉の奥へと侵入していた。 --------(11) 今、目の前で、何が、一体何が起きているのか… いや、今だけではない。この部屋に入ってから一体なにが起きているのか。 あのメイドは何者? スカートの中の二人は? そして俺はこれから…どうなる? 「ふふ、ジェラのキスはね…すごいのよ。 喉の奥を通り、胃壁を舐めあげ、肺を満してくれる。 最初は溺れるかと思うけど…すぐに気持ちよくなる。 呼吸することすら知らない、胎児の頃に戻ってゆくの。 そうして、暫くはなにも考えられなくなる。」 どこからともなく声がした。 「くすくす、彼がどうなっているのか知りたいと思ったのでしょう?」 それは聞き覚えのある声だった。 「教えてあげる。私が」 と、俺の前の赤いカーペットが、渦を巻きはじめる。 その中央から、真っ赤な頭が、顔が生えてくる。 じゅる、じゅるじゅるじゅる 顔、目、肌、髪、全てが赤い粘液で出来た全裸の女性が 豊かな胸の前で腕を組み、ぬるりとした光沢を輝かせながら 渦の中心から伸び出てくる。 そして粘液が、口を開く。 「ひさしぶりね」 その声、そして形には覚えがあった。 そう、1週間ほど前、俺に告白してきた女のものだったのだ。 --------(12) 「あのときはごめんなさい。 私、知らなかったの。あなたがそういうことを求めていたなんて」 くすくすと笑いながら、粘液は続ける。 「悔しかった。好きなひとが好きなことに気付けなかった自分が悔しかったの。 ……そう思ってあの場で泣いていたら、彼女、ジェラがやって来て… そして教えてくれたの。男のひとが喜ぶことをたくさん、たくさん…」 形こそあの女。 しかしその妖艶な笑みは、あの女から想像も出来ないものだった。 「ジェラの体の中で、いろんなことを、体で教えてもらったわ… 私知らなかった。実践的な勉強って学校よりも楽しいのね」 そこには既に狂気すらも浮んでいた。 「そう、体も変えてくれたの。あなたが喜ぶように… あなたの好みへと自在に変わることが出来る あなたのどんなことでも受けいれられる あなたをもっと気持ちよく出来る身体」 粘液の右手が自らの股間へと伸びる。 そこに存在する毛も生えていない真っ赤な裂け目を、赤い指がくぱぁと開く。 途端、どろどろと赤い粘液が瀧のように流れ落ちる。 「どう? 素敵でしょう?」 粘液の問いに、俺は答えられなかった。 「ふふ、大丈夫。これからたっぷり教えてあげる。 あのとき、あなたが私に教えてくれたように」 ぎゅうと、粘液は俺を抱き締めてくる。 と、しゅうしゅうと、俺の服が煙を上げ始める。 「私達の間に、服なんて邪魔。溶かしてあげるわ」 粘液の体が俺を包んでゆく。 服が溶け、暖かい赤い粘液がべとりと、俺の肌へ触れる。 「ああ、私が前では彼が見えないわね」 どろりと女の形が崩れ、大きな粘塊へと変わり、ずるりと俺の後ろへ移動する。 まるで巨大な舌で舐められたような刺激が走り、びくりと体が震えてしまう。 「これでいいかしら」 声は耳元から聞こえた。 粘液は後ろから俺を抱きしめる、女の形になっていた。 下半身は赤いカーペットの中へ沈んでいた。 そして大きな二つの膨らみが クッションのように俺の背中をやわらかく支えていた。 --------(13) ツレへと目をやれば、いつのまにか、彼も服を脱がされていた。 そしてどこからか真っ赤なベッドが現われ 彼は全裸でそこへ寝かされていた。 ベッドはどこまでも沈みこむようなやわらかさで 彼を受けとめていた。 そこで彼は、必死で暴れていた。 その足首がメイドによりがっしりと捕まれているからだ。 しかし暴れても暴れても、メイドがその足を放すことはない。 「さあ、ジェラ。ゆっくり、ゆっくり呑みこんで差しあげて」 「かしこまりました、お嬢さま」 その言葉とともに、メイドはツレの足を、自らのスカートの中へと入れた。 じゅぶぶ。 そんな音が確かに聞こえた。 と、スカートが大きく波打ちはじめた。 ジュル、ジュウル、グジュ… すぐさま、粘液が捩れるような音が響きはじめた。 男はさらに強く、スカートから出るよう藻掻き、叫びを上げる。 しかし抜けることはなく、それどころか底無し沼へと嵌ったように ずぶずぶと足は呑みこまれてゆく。 「見て、ああやってジェラは自分の中に呑みこんでゆくの」 俺にはスカートの中はわからない。 だが、耳元で粘液が囁く。 「ふふ、ジェラのスカートの中はね、凄いのよ? 溶けるようにやわらかい肉に包まれたかと思うと それが舌に変わって、蜜みたいにねちょねちょの粘液を塗りつけてくるの。 …こんなふうに」 指の形をした粘液が俺の胸へと滑り込み、乳首をどろりと撫で始める。 それは撫でるというよりは、舌で舐められたようだった。 立った乳首のサイドを丁寧になぞり、先をぴんと弾くように指を上げる。 触れた部分は俺の肌で溶け、べっとりと赤い粘液をそこに残す。 蜜のように垂れてゆく液体を、さらに赤い指が撫で回し 俺の胸を赤く塗りこめてゆく。 「ほら、きもちいいでしょう? 彼は今、これを足にやってもらっているの。 足の裏表や足首はもちろん、爪先や指の間まで ねちょねちょに撫でてくれているのよ」 耳元で囁く粘液の声が、湿った吐息を帯びはじめる。 「それがどんどんどんどん、上に上がっていくの。 脛の毛穴まで舐めまわされ、膝の裏まで舐めまわされ、 太股は揉み拉かれながら舐めまわされるのよ」 --------(14) ジュル、グジュ、ニチャ… 粘液はくすくすと笑いながら 俺の乳首を弄ぶ手の動きも、より早く、より強くしてゆく。 後ろから抱えこむ腕もぎゅうと強くなる。 背中に当たっていた二つの豊かな膨らみがむにゅりと潰される。 膨らみの中央では小指ほどの熱い突起が存在を主張する。 呼吸は明らかに熱っぽく上がっている。 「そうやって、ゆっくり、ゆっくり、呑みこまれてゆくのよ…」 目の前のツレはといえば、既に膝あたりまで呑まれていた。 今迄と同じように、助けて、助けて、助けて…そう叫んでいた。 しかし、呑まれる前と違い、暴れてはいなかった。 「ふふ、抵抗しなくなっているでしょう? 疲れたから? 違うわ。 気持ちよくて力が入らないから? それもあるでしょうけど、ちょっと違うわね。 彼はね、もう、耐えられないの。 呑まれることに対して、体が幸せを感じていることに。 体がもう、呑まれたい、呑まれたいって叫んでいるの。 きっと呑まれたら死んでしまうのにね?」 そのうち助けて、すら言えなくなると楽しそうに粘液は続けた。 「そうして体と心が剥離して、 その錯乱すらも気持ちよくなってきた頃 ようやく、その、逞しいそれに到達するの」 粘液が指さしたそこは 既に固く大きく聳り立っていた。 しかし興奮したそれには決っして触れることなく 10cmほど上のあたりで人差し指をついと伸ばす。 そしてそこから赤い粘液がひと雫 糖蜜のようにゆっくりと垂れ落ちてゆく。 俺のものを目指して。 ぴたん。 限界に張りつめていたモノの先端、尿道口にそれは当たり 雫となったあと、下へとろりと垂れ落ちてゆく。 しかしそれは小さな刺激。 「きもちいい? でもイけないでしょう?」 粘液が耳元で囁く。 「ふふ? 我慢できないでしょう? イきたくなってきたでしょう? でも彼は今、あなたの100倍はイきたいと思っているでしょうね。 そんな状態で、やっと到達するのよ、そこに」 --------(15) 目の前では耐えられず涙を流す男が、太股の半分あたりまで呑まれていた。 メイドに両手は押さえられ、自らでモノに触れることは出来なかった。 なんとか逝こうと腰を上下し藻掻いていた。 水に上げられた魚のように。 「そうしてね、お尻や陰嚢、陰茎をアナルや陰嚢の皺一本一本 陰茎の剥けた皮の裏やカリ、可愛らしい亀さんまで 全部、ぜんぶ、揉み込みながら舐めてくれるの」 その瞬間、目の前の男のモノが、スカートの中へと消えた。 びくびくと腰を震わせていた男が 今度は電気でも浴びたかのように全身を震わせた。 最早言葉にもなっていない叫びを上げて。 「きっとあなたも目の前の彼のように全身を震わせて 歓喜の叫びでそれを受けいれるの…」 粘液は笑っていた。 「あの時の私では満足出来なかったでしょうけど ジェラは、もう死ぬほどに満足させてくれるのよ…」 くすくすと笑いながら、粘液は続ける。 「あとはもう、どくん、どくん、どくん、どくん、いっぱいいっぱい出せばいいの お腹も、お臍も、腕も、胸も、脇の下も、丁寧に丁寧に呑みこんでくれる。 気が狂うぐらいの快感に身を任せていればいいの。 そうしていれば、あとはもう、あっという間のこと。 …そこの彼のように、気がつけば全身がスカートの中」 見れば男の全身はすっかり中へと消えていた。 布の向こうにある男の顔だけはうっすらと浮かび上がっていた。 未だスカートは未だぐにゃり、ぐにゃりと蠢いている。 そのたび、スカートの中の三人がびくんびくんと震えながら ぱくぱくと口を動かしているのがわかる。 「彼らはそこまでだけど、あなたは特別。 そのまま、全身を、奥の奥まで呑みこまれるのよ、ジェラに。 そうして波に身を任せて、気がつけばそこはジェラの体内。 どろどろのスライムが渦巻く、小さな部屋。 ふふふ、そこで私がずっと、ずっと、あなたを楽しませてあげるの。 永遠の時を、私と気持ちよくして過ごすの…」 粘液の湿った息が耳に吹きかけられていた。 明らかに自分の言葉に感じていた。 しかし目の前のメイドの顔は、未だスカートを蠢かせながらも 粘液とは対照的に冷めたものであった。 だが仕上げと言わんばかりに大きくスカートを蠢かせたとき。 俺は、どきりと高なる鼓動を感じてしまった。 見てしまったのだ。 その腹を撫でながら見せる表情は、子を愛する母親のようであるのを。 無償の愛をそこに感じてしまったのだ。 --------(16) 「ふふふ、それとも、あなたは私が呑みこんであげようかしら。 私が全ての世話をしてあげる。 そして私だけが、あなたの出すものを浴びるの。 私のなかで、永遠を過ごすの。 あなたは、ずっとずっと、私だけのものになるの。 もしそれが出来たなら…あの3人なんて、もう、どうでもいいわね」 そして粘液は、俺に囁いた。 「ねえ、選ばせてあげる。あなたはどうしたいの?」 [2008-12-26 01:38] >>> ~/howm/2008/10/2008-10-26-032231.howm