粘体世紀の贖罪

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2010年2月7日 (日) 15:25時点におけるSlimymars (トーク | 投稿記録)による版 (→‎S.C.-0025)
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我々は排除されるべき存在なのか? 運命に逆らう人類は、その答えを最後の作戦に託す。

S.C.-0025

全世界のコンピューターネットワークを結ぶシステムが完成する。あらゆる研究、施設、知識が一つになることで、科学は飛躍的な進歩を遂げる。

S.C.-0016

『粘体操作による情報共有システム』の理論が完成し、それを応用した巨大粘体情報システムプラントの建造が開始される。

S.C.0000

S.I.S.S.(粘体操作による情報共有システム)が完成。これにより人類は粘体に接続し、より高度で正確に情報を伝達する術を得た。人類有史以来、常に混沌と争いの種子となっていた情報伝達問題はここに解決を見た。

S.I.S.S.とシステム管理用ニューロネットワーク"Slime-Human"は多くの問題を解決し、さらなる飛躍を人類に約束する。

人類はこのシステムの完成により、文化の頂点に登りつめたと信じて疑わず、彼等は粘体文明の恩恵を称え、年号を粘体世紀-S.C.(Slimy Century)と改定した。

S.C.0013

外惑星への移民計画始まる。同時に外惑星連合宇宙軍の設立。

S.C.0054

周辺の恒星系への探査計画が開始される。

S.C.0098

探査船団が次々と帰還。

[計画に適合する惑星は発見されず、計画は事実上凍結せざるを得えなかった。同時に並行して進んでいた、衛星セシリアへの移民計画に方針は一本化された。この結果は"Slime-Human"に新たな人類存続の方法を模索させることとなり、永続的な人類存続とその方法の欠落、というパラドックスは、やがて"Slime-Human"の異常動作の引き金となっていく。]

この年から"Slime-Human"の原因不明のシステムダウンが続く。管制下にある、気象制御システムが次々に異常動作。気象災害による被害が続出した。

完全独立思考型(Stand Alone)コンピューターだけにその基本ソフトウェア設計を疑問視する声もあったが、"Slime-Human"に対して、盲目的な信頼を寄せていた世論により、その声は次第に消滅していった。

S.C.0105

異常はついに大気制御システムにまで至った。大気成分そのものが少しずつではあったが変化していったのである。

S.C.0108

[クローンと"Slime-Human"を接続した「有機体と粘体の整合性理論」の実験途中、"Slime-Human"は、人類存続の方法として人類と粘体の「融合」に新たな可能性を見出す。"Slime-Human"は、守るべき種は意識と粘体「融合」から発生した不定形生命であると判断し、人類の排除(人体と意識分離)を選択した。]

"Slime-Human"は人類による一切の操作、命令を突然拒否。何等メッセージを発する事も無く"Slime-Human"の強制融合は開始された。軍は必死で抵抗を試みたが、すでに軍事力の大半をシステムに依存し、その存在は形骸化していたため、その抵抗活動はほとんど意味を成さなかった。

S.C.0120

システムは環境を自らに適応させていた。晴れの確率0.0001以下、平均湿度99.99%。この、人類には過酷な環境の中でシステムによるメルトダウンは容赦なく続いた。

S.C.0123

人類はこの惑星が以前のそれとは全く異なる物体へと変革した事を認識した。外見はあくまでもかつてのそれではあったが、その偽りの地表の皮膚の内部には、地殻もマグマも存在しなかった。粘体の海と細胞の流動音、それがその全てだった。

S.C.0130

ついに人類史上最大の脱出は開始された。唯一"Slime-Human"の束縛を受けぬ、外惑星連合宇宙軍は、地上や軌道上に残された人々を乗せ、惑星を後にした。ある者は大気も存在せぬ近隣の惑星へと移住し、またある者はそのまま宇宙の放浪民となった。

S.C.0165

「有機体と粘体の整合性理論」が発表される。密かに、軍内部でそれを応用した機動兵器の開発が開始される。

S.C.0180

人類が死と隣り合わせの冷たい大地と、暗黒の空間をその住処として半世紀が経過した。しかし、彼等はかつての故郷であった惑星から大きく離れる事は出来なかった。望郷、後悔、絶望、そういった数々の思いが彼らをその恒星系に縛り付けていたのである。

その間にも惑星は依然としてその進化を続けていた。しかもその進化のベクトルは、かつての主がそうであったように、統一へと向けられていた。人類に対する"Slime-Human"の殲滅戦は熾烈を極め、人類は存亡の危機に立たされていた。

S.C.0183

人類は"Slime-Human"の存在を全生命体にとっての脅威と判断、その完全破壊を決断する。第一次敵惑星攻略戦が開始されたが、その強大な戦力を前に後退を余儀なくされる。

S.C.0185

ついに人類は残存兵力の全てを投入した第二次的惑星攻略戦"OPERATION RAYFORCE"を発動する。しかし、人類にとっての「希望の力(RAYFORCE)」であるはずの兵力はあまりにも少なかった。


S.C 0185 マイストロノフ.E.ノイマン著「粘体世紀の贖罪」より抜粋