「ふふふ、よく出来ました。」

時夜円のやわらかい声が、薄暗い倉庫に響く。

「さ、ささ、さあ、ここ、これで、いいんだろ!?」

荒井は少し焦っていた。

「うふふ、ありがとう。これでいいのよ。さあ私のなかへ、どうぞ。」

時夜は床まで伸びるスカートをついと持ちあげる。 そこから、荒井を誘う甘い香りが漂う。 荒井は、もう待つことが出来ないといった様子でスカートの中へと入ってゆく。

大人ひとりを飲み込んだスカートは、もっこりと膨らんだが、 しかし、それは束の間だった。スカートがもにょもにょと、 まるで獲物を咀嚼し、吸い上げるかのように蠢きはじめる。 それとともに、円は明らかに恍惚としていった。

「ふふふふ、さあ私の中で、たっぷりと、天国を味わいなさい。」

スカートの動きが止まり、すっかり元の大きさへと戻っていた。

「ふふ、力が漲ってくるわ。さあ、次の準備をしなければ。」

時夜はひとりそう言った。


幕間・一、完

Next:堤京子・一