誕生日おめでとう、レイちゃん。ねえ、私、心から祝ってるんだよ。なのに、なんで私のプレゼントを拒否するの? そんなに私のこと、嫌い?
ねえ、そんな目で見るのは、やっぱり、私がドロイドになっちゃったから? 赤い粘液を操り、触手でレイちゃんを拘束するような、得体の知れない人外だから嫌なの?
こんなどろどろの触手で無理矢理縛っておいてよく言うって? うん、そうだね。私だて、こんなの本当はしたくなかった。この触手だって私の体の一部だから、私からすれば触ってるだけなんだけど、レイちゃんからすればとってもきもちわるい。触るだけで嫌な目で見られるって少し悲しいけど、わかってる。だってわたしだってそうだったもの。
なら何故って? だって、知ってたもの。レイちゃんは私のことずっと狙ってるって。私がドロイドに変わったことにもすぐに気付いたのに、誰にも、なにも言わなかった。今日も私ひとりで訪ねてきたら、こんな離れに通されて。まるで私を殺そうと思ってるみたい。
こんな夜中に訪ねてこられたら、誰だってそうする? あ、確かにそうかもしれないわね。ごめんなさい。でもそれだけじゃないわ。レイちゃん、お風呂で『汚れ役になるのは私ひとりでいい』って呟いてたよね。それも、何度も。……なんで、知ってるのって? 水のセーラー戦士だもの。水のあるところなら、わかるわ。
ドロイドがセーラー戦士を名乗るなって? そうね、確かに私は、もうセーラー戦士じゃないわ。私はより多くのひとを助けるため、セーラー戦士の力を捨てて、この体になった。体は変わったけど、心はそのまま。ちびうさちゃんも、うさぎちゃんも、カラベラス様も助けたいの。
あなたが敵と呼び殺してきたニパスも、アツゲッショも、ダンブルさんも、時を戻せるなら助けたい。でも、それはもう無理。ああだからといって、殺したレイちゃんを恨んでるわけじゃないのよ。私はジャーマネンでもあり、亜美でもある。だから仕方無かったんだって理解しているわ。レイちゃんを恨んだりはしてないし、むしろ私は私の力で、レイちゃんを助けたいの。
騙されてるとか、そんなこと言うの? 酷い。私、簡単に騙されちゃうように思われてたんだ。ちゃんと自分の頭で考えて、出した答なのに。
ねえ聞いて。前世なんかに縛られ、狭い世界しか見ていないレイちゃんを、もっと広い世界に導いてあげたい。それが私の願い。そのためには、私が研究して作りあげた、私の卵を飲むだけでいい。たったそれだけで、戦う力は消えてなくなるのよ。霊感少女なんて言われて疎んじられなくなるの。そうして、うさぎちゃん以外とも普通にしゃべれるようになる。レイちゃんは、普通の少女になるの。
ううん、私みたいにドロイド化なんてしないわ。ちゃんと人間に戻る。バランスを研究したの。そういったことのために、この体になったんだもの。
……これだけ言っても、信用してくれないの? あなたなんか亜美じゃないって、亜美だったら戦いを放棄するよう言わないって……。さっきも言ったわ。私は亜美よ。そしてレイちゃんがそうやって戦う力に固執するのは、うさぎちゃんだけに依存しているからよ。
……いいわ、わかった。レイちゃんから戦う力を無くすのは、あきらめたわ。私は、嫌がることはしない。例えそれが相手のためになることだとわかっていても、無理矢理はいけないこと。わかるわ。
でもこのままだと、開放した途端、私、殺されちゃうわよね。あなたの目がそう言ってるもの。だから、本当に残念だけど、対策だけはさせてもらうわ。
簡単なことよ。私の体を使って、レイちゃんを、たっぷり、狂わせてあげるの。最初はきもちわるいかもしれないけど……ふふ、すぐにそんなこと関係なくなる。ぬるぬるで、どろどろで、ぐちょぐちょなのに、おくちも、耳も、首も、脇も、手も、おへそも……そしてもちろん、おっぱいや、おまんこも。ぜーんぶきもちよくして、頭のなかがそれだけになっちゃうの。
不可能って? うふふ。今の私には、ヒトの体なんて、とっても簡単に扱えるの。神経に直接私をつないで、ちょっと刺激を与えるだけでいい。自在の体が可能にしたスキンシップなのよ。
まだ、私のことを、そんなふうに言うのね。なら実行するしかないわ。残念だけど。……残念。
ねえ、最後に言わせて。私、こんなことになんてしたくなかった。レイちゃんが私のこと受けいれてさえくれれば、とってもきもちよくできたのに。ずっと親友でいられたのに。いつだって気持ちよく、できたのに……。
うん、しかた、ないよね。じゃあ、いくよ。私からの、ハッピーバースデー……
なんなんだ。なんなのだ!
目の前の、こいつは得体の知れないドロイドだ。亜美ちゃんの姿を借りて、えっちな触手で私を嬲る卑劣なドロイドだ。それも全裸を見せびらかすように私の前に立つ。亜美ちゃんが言うはずのないことを、亜美ちゃんの姿で! 亜美ちゃんを侮辱している。こいつは私の親友をこれ以上ないほどに侮辱しているのだ!
なのに、なんなんだ! あのセリフは。そしてあの表情は! あんな、寂しい顔は……亜美ちゃん、そのものじゃないか! 理解されなかったときの、仲間外れにされたときの亜美ちゃんじゃないか! ……なんで、なんであんな顔が出来る。模倣しているだけのくせに!
私の肌がちりちりする。ソーダにでも触れてるかのような感覚だ。溶かされてる? いや、多分目の前のドロイドは、確かに言ったとおりのことを実行するつもりなのだ。私を狂わせるために、繋がろうとしているのだ。
……あんな、悲しそうな顔で!
演技のはずだ。あんなの。本心は嬉しいはずなんだ。私が壊れ、戦力が無くなることが! そのはずなのに。そのはずなのに! なんで……なんで……私……あのドロイドが……亜美ちゃんに見えてしまうんだ……
「亜美……ちゃん……」
「……レイ、ちゃん。わかって、くれたの?」
亜美ちゃんの声で、亜美ちゃんの顔で、目の前の彼女は嬉しそうに言った。ああ、そんな顔されたら、私は。
私に絡まった触手が、引いていく。私の拘束が溶けてゆく。私の強固な思いもいっしょに、溶けていく。もう、目の前の敵とは戦えない。だって私には、亜美にしか見えないから。
「ひどいこと、言っちゃったね」
「ううん、私も、ひどいことしたから」
悪いのは一方的に私なのに、なぜかお互いに謝ってた。ああ、そうだ、やっぱり亜美ちゃんだ。ごめんねと、私はもう一度謝ってしまった。
「よかった。私、レイちゃんと、また笑っていられる。ドロイドになっても、また」
亜美ちゃんは、そう笑った。もう、ドロイドとか、関係ないよと私も笑った。さっきまでのはなんだったのと、亜美ちゃんは笑いながら返した。私がまた謝ると「いいのよ、もう」と、亜美はまた笑った。
「ああでも、レイちゃんをきもちよく出来なかったこと、残念だな……」「え?」
「えっちなこと、したくなったらいつでも呼んでね?」「え、ええ? やっぱりドロイド?亜美ちゃんらしくない!」
「ええそうよ。私はドロイド、ジャーマネン。そして、同時に人間、水野亜美。」
くすくすと笑いながら、彼女は答えた。言い聞かせるようなそれは亜美ちゃん。だけど……
「ふふ、じゃあ、私、帰るね。また明日。」
最後にそう言いのこして、亜美ちゃんは闇の中へ溶けていった。ああ、彼女が「帰る」ところはそこなのかと、少しさみしくなった。
そして今、私はお風呂に入っていた。ぬるぬるに汚された私の体を清めるためだ。
でも、なのに、それを洗い流した途端、寒さを感じた。あったかな布団を奪われたかのような、そんな冷たさ。あるいは人肌の温もりを奪われた、寂しさだ。
そうだ。このぬるぬるは亜美ちゃんの体液だったわけで、そしてあの触手も亜美ちゃんだったわけで……。ああ、私、裸で亜美ちゃんに、全身さわられちゃったんだ……
ふっと、裸で抱きあう私と亜美ちゃんが脳裏に浮かぶ。う。なんだろう。なぜか顔が熱くなってきた。湯が熱いのかな。それとも……
『えっちなこと、したくなったらいつでも呼んでね』
うわ、なんでその言葉が頭の中で再生される。私、ちょ、なんかお風呂に入ってるだけなのに、むねがどきどき、からだがほかほか……おっぱいがざわざわ……た、試しに触って……試すだけ……
「……んっ!」
やばい。きもちいい。どうして。もっと、もっと揉もう。そして目を閉じて……これが亜美ちゃんの手と思って……
「ん……あ、亜美ちゃ、はっ……もっと触って……」
もう熱のまま、私の手はあそこへと伸びていた。淵をなで、小さなおできに触れた。びくびくと体が震え、さらに、さらにと指は奥を目指す。
「あ……い……」
気がつけば、私を中心に水が渦を巻いていた。私の動きに呼応し、水が私を撫でる。ぬるぬる……むにむに……え?
目を開けると、そこはウチのお風呂ではなかった。びくんびくんと震え、ぬるぬるの艶を放つ赤い肉壁が作る、小さな部屋。それだけでなく、私の体を亜美ちゃんが、触っていた。
「あら、気付かれちゃった」
「え、いや、な、え?」
「大丈夫、ここは私の中だから。だれも邪魔しないわ。うふふ、レイちゃんがあんな声出してるもの、ご招待しちゃった、私の中に」
「え、いや、はい?」
混乱してる私を無視し、亜美ちゃんは体を撫でながら続ける。
「こわがらないで。私に身を任せて……」
ぬるぬるの手が、私を撫でてゆく。巨大な舌で舐められてるような、それともおまんこを直接塗りつけられるような、そんな感覚で、きもちよかった。
ああ、もういいか。亜美ちゃんに任せてみよう。きっと、きもちいいだろうから……
最後にそう考え、私は目を閉じた。
最初は、亜美ちゃんが私を撫でまわすだけだった。それでも私は十分にきもちよくて、力が抜けて、ふにゃふにゃになれたけど、でも、なにか足りなかった。
そんな風に考えていたら、唐突に亜美ちゃんが「舐めて」と言った。目を開けるとすぐ前に亜美ちゃんのあそこがあった。
私は言われたとおり、その秘裂を舐めた。亜美ちゃんはぴくんと体を弾かせたが、すぐに私の口へともう一度それを押しつけてきた。舐めれば舐めるほど、亜美ちゃんの中から蜜が溢れてきた。それは桃のように甘くて、蜜のようにとろとろしていた。美味しいので、さらにさらに舐めつづけた。
一方私の秘裂も、亜美ちゃんの舌が侵入していた。この舌はどこまでも伸び、襞の一枚一枚を丁寧に舐めあげ、奥の奥まで綺麗にしていった。太さや硬さまでも変えながら、私の穴を埋め、満たしていった。
「ごめん、私、もう我慢できない。もっとレイちゃんを感じたい」
亜美ちゃんは、唐突にそんな宣言をした。すると赤い肉壁がずいずいと迫ってきて、あっという間に部屋ではなくなってしまった。小さな肉の寝袋の中に、二人収まっている感じだろうか。私と亜美ちゃんは、ぴっちりと密着することになった。
「ね、入れて、いい?」
変幻自在の体は、狭い中でも簡単に体位を変える。私の目の前にきた亜美の顔は真っ赤になっていた。私は肯定のつもりで、抱きあいながら、キスをした。ちゅるちゅると、私の中になにかが侵入してきた。
「ああ、レイちゃんの中、あったかくって、きつくって、ぬるぬるして、とてもきもちい……」
「亜美ちゃんのも、それに亜美ちゃんの中も、とってもきもちいいよ……」
本で見たセックスは、男のほうが激しく動いていた。が、亜美ちゃんにはその必要はないようだった。中の触手は自在に形を変え、舐めあげ、震え、捻れ、波立った。私たちはきつく抱きあい、御互いのぬくもりを感じたまま、繋がる快感を貪った。
「ね、出していい? たまご、出していい? 戦いやめよ? 人間になろ?」
亜美ちゃんは、赤い顔で私に聞いた。……とってもかわいい。かわいかった。でも。
「ごめん、亜美ちゃん。私、やっぱり戦う力は欲しい。うさぎちゃんの敵になるのは、きっと、まだいるから」
私はそう回答していた。亜美ちゃんは寂しそうに目を伏せた。
「でも、亜美ちゃんの卵自体は、私、欲しいな。戦う力を失わないものなら、出していいよ。ううん、出して欲しい」
「……ありがとう、ありがとうレイちゃん!」
亜美ちゃんの目が、すこし潤んでいた。
「じゃ、いくよ……受けとって! 戦う力を失なわない、普通の、私の卵!」
私の奥のなにかが、触手によって抉じ開けられた。その直後。びゅーっと、先を細めたホースから出る水のように、それは私の奥へと流しこまれた。
「「……ん、あ、んあああああぁぁぁぁぁぁっ!」」
触手がびゅくびゅくと鼓動を立てながら、止まることなく送りこまれつづける。その振動と快感は、私の脳を焼き、声を上げさせた。亜美ちゃんも、目をびくびくさせていた。それが、10秒、20秒、いや、もうわからない。止まることなく続く。子宮が満たされるどころか、お腹が膨らんでいった。
「あ……ああ……っ……」
それが止まるころには、私のおなかは妊婦のように膨らんでいた。肉壁が広がり、亜美ちゃんも離れる。二人の肌の間に、ぬちゃぬちゃの橋がいくつも伸びた。体を起こすと、ぼむんとお腹が弾んだ。
「……たまご?」
「うん、たまご、というよりは、私の分身かな。これでいつも、私はレイちゃんの中で、レイちゃんの温もりを感じていられるの」
もちろん、危なくなったときはおなかから出て助けてあげるからね? そう笑う亜美ちゃんが、とてつもなく愛しく感じた。おなかを撫でながら。